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昔、ここは浜御殿という場所でした。

明治・大正時代、この辺りはちょっとした船着き場で、
物資の運搬で多くの川舟が行き来していました。
毎年夏の神事や仏事の際には露天がずらりと並び、
川から花火も打ち上げられ大賑わいだったようです。
様々な人がこの水辺空間に親しんでいた様子が想像されます。

 

今も時折使われる「浜御殿」という地名の通称は、
そのような水辺空間が祭のときには
お神輿が宿泊する場所(お旅所)になっていたのが由来とされています。

この集合住宅では、
水面に浮かぶ船が周囲から身を守りながらも
水と親しい関係にあるように、
都市的な環境から守られながらも
そこに「属している」という感覚がもたらされるような
建物を目指しました。
建物はツタに覆われた緑地の中に浮かぶように
3棟分かれて建っています。
緑地は水面のように進入出来ないものとして
プライバシーを担保する役割を果たしています。

 

住戸内は、水廻りなど居室以外の部分を隣接住戸に沿ってまとめることで、
ワンルームのすっきりとした筒状の居室空間にしています。
筒状空間の両端にある大きな開口部は、
人が踏み込めない緑地に面しFIXの窓にすることによって、
守られながらも開放感のある空間になっています。
また、どの住戸も玄関が緑地に面した1階にあり、
独立した戸建ての雰囲気をもっています。